純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

菅田将暉の下手くそな歌

youtu.be

 ミスドの新発売のドーナツを食べたい。菅田将暉さんを見るとミスドが食べたくなるようになってしまった。それはそれでたぶん良い広告効果。

 そんな感じの私は長い間、菅田将暉さんが歌手だと知らなかった。邦楽をあまり知らないから仕方ない。大人になってからのバンドや曲はもっと知らなかったのだけど、ここ何年かはそれではダメな状況になり、いろいろ聴いたり見に行ったりするようになった。菅田将暉さんを知ったのはそんなある時、私のSpotifyがオススメとして彼の曲を流した。

 イントロが流れ、彼から数単語が発せられる。それだけで思った。

 なんてかっこ悪い曲なんだ。

 あまりのかっこ悪さに耳を済ましてしまい、さらに数フレーズ聴いて思った。

 なんて下手くそなボーカルなんだ。

 誰が歌ってるのかを確認するべく画面を見たら……、菅田将暉さんだった。

 菅田将暉さんというイケメンの若手俳優のことは知っていた。評判も知ってる。なのに、どうして彼はキャリアの絶頂期に自身への高評価を壊しそうな「歌手」に手を出してしまったんだろう。なんて愚かな男なんだと思った。

 その後もSpotifyはこの曲を勝手に流す。それで私は気づいた。これは「歌手、菅田将暉」というプロジェクトであることを。

 かっこ悪い曲と下手な歌はただのコンセプト。彼は徹底してかっこ悪い歌手を演じているだけなのだ。

 思えば、歌姫ビヨンセはステージ上のペルソナにサーシャ フィアースがあった。しかし、彼は名前すら変えずに俳優と歌手との自分を演じ分け、昭和のイケメンが歌っていたみたいな青臭い歌で世界観を作り上げているだ。それに気づいてから、私は彼を他の若手イケメン俳優たちとは違う目で見るようになった。

 彼は将来なるでしょう。ほぼアイドルだった吉川晃司さんが歳を取って渋い個性派の俳優として蘇ったように。濃い顔のハンサムだった草刈正雄が、大河ドラマで渋いおじさんを演じたりお茶目なキャラで人気になったように。歳を重ねるごとに芸幅を広げ長く活躍する。彼のキャリアの絶頂はまだ見ぬ遥か未来で待っているのだと思う。

 第一印象は大切だけど、そうでない場合もある。彼の歌からそんなことを学んだ。でも私はタイプじゃないからたぶん聴かない。流れてきたらスキップスキップ。

 ごめんね、菅田将暉さん。