純米@大吟醸

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52:マドリードの思い出

 daiginjo travel spain madrid

マイペースなお国柄

 メモに残されているのは「快適電車でスペイン入り」とのこと。ポルトガル入りが厳しかったから余計そう思ったのかも。とはいえ、この移動も楽だったとは言いにくい。だって、指定の時間に駅に行くと乗るはずの電車が運休になったと言われてしまったから(笑)

 日本の交通システムが勤勉なだけ。この辺の国の人は自分が無理をするより止めることを選ぶ。今はどうか知らないけど、この時はまだシエスタという昼寝のシステムが常識で主にアメリカから批判されていたと思う。私もこの旅の中だけでもイタタな目にあってイライラしていた。昼寝がいかに効率的かを知るにはそれから二十年、つまりコロナで在宅勤務になるまでかかるのだけど。

 リスボンの駅から電車は出ないけど、違う駅までバスで行って、そこからマドリード行きには乗れることになった。渋谷から恵比寿駅とかではなくて、渋谷から御殿場のアウトレットくらいまでは行ける距離だったと思う。途中の面倒くさいことは例のポルトガルで会った大阪人のお兄さんが助けてくれた。サッカー好きはスペイン語が少しできるらしい。無事に電車に乗ることができて、マドリードにも到着できた。

アトーチャ駅

 この駅は私が知る世界の駅で五本の指に入る美しい駅だ。旅は前情報なく行くのも悪くない。だって、駅の大きな広場に熱帯の森があるなんて想像していなかったから。この駅の絵はいつかゆっくり描きたい。

 天井から光もたっぷり入っていて、濃い緑がうれしそう。どうしたらこんな建物を想像できるのか。うわーとなった。ならない人なんているのだろうか。これから何回も行きたい駅。

 よく考えたら、海辺の街から内陸の街に一気に移動していた。何を考えていたのかまたしても意味不明だ。若いってすごい。

マドリード市庁舎

 写真はマドリード市庁舎で撮ったもの。シベレス宮殿というお城らしい。外観も外の広場も中もとてもきれいだったから印象に残ってる。たまにスペインのニュースでテレビに出ていると、いちいち反応してしまうくらい。

 マドリードの建物は真っ白で、そこに光が反射してまぶしかった。街中のラウンドアバウトやランドマークの前には大きな噴水があって、それらも白が基調。空も青が濃くて、白い噴水と水しぶきの感じを好きになった。

犯罪が多い街

 だけど、マドリードは危ないと聞いていた街。この付近に来るとサッカーを観に来た日本人男性がたくさんいて、自分が追い剥ぎにあって大使館に駆け込んだ武勇伝を聞かせてくれた。

「わー、大変だったね」
と言いながらも、複数の男性から話を聞くうちに、女性よりも男性の方が隙がありそうと思い始めていた。旅の途中で会う女性たちは防犯面の対策をしっかりしていて、危険な目に遭っていなかったからかな。私も全然怖い目に遭うことはなかった。

「こんな風に人がたくさんいて明るい場所も危ないって言ってたね」
「路地に連れ込まれて貴重品盗られたんだよね」
「怖い〜〜〜〜」
「感覚を研ぎ澄ましてないとだね」
「そうそう。ははは」

 ちょっとスパイ映画を思い浮かべてたと思う。

「きっと今も誰かに尾けられてるよ」
「うん。たぶんそう。そしたらまかないとね」
「ドキドキするな〜」
「振り返って変な人がいたらダッシュしよう」
「いいよ。せ〜の!」

 シーン。

 誰もいなかった。

 本当の本当に人っ子ひとりいなかった。

「私たち人気ないね。ははは」
と大笑い。

 という訳で、結局マドリードで怖いことなんて一度もなかった。

オムレツ!ドカンなサンドイッチ

 マドリードの絵日記には、ジャケ買いしたサンドイッチのことが描かれている。日本で厚焼き卵かオムレツかと呼ばれる卵焼きにじゃがいもが入った物を、ブロック状でバゲットに挟んだだけ。他のサンドイッチには生ハムやトマトやレタスがたっぷり入って見た目も麗しかったのに、これだけは本当の本当に卵焼きだけで、レタス一枚も入っていなかった。

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 でも、おいしかった!

 笑えるくらいおいしくて、マドリードではこればかり食べた。ちなみに私はそんなに卵が好きじゃない。あとはファンタレモン。日本では見なくなっていた懐かしい味を見つけて、見つけると必ず飲んでいた。

 そうそう、マドリードという読み方を知ったのは現地に行ってからだった。それまで見てきた地図や教科書やガイドブックには、マドリッドと書いてあったと思う。

 

 今日の場所は、大吟醸トラベルマップの52番。

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