純米@大吟醸

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バンドマンガの傑作『3-Three』のイメージ音源

「少女マンガでバンドネタはあまりない」と言った。でも、ひとつ思い出した。惣領冬実さんの『3-Three /スリー』という傑作がある。

 ずいぶん昔のマンガだ。主人公はふたりいて、一人は中学生の理乃ちゃん。ルックスと歌唱力抜群で大きな事務所からアイドルデビューが決まってる。でも途中で敏腕プロデューサーにビビビと来るものがあって、バンドのボーカルとしてメジャーデビューすることになる。

 もうひとりは理乃ちゃんと同級生で、すごいギターテクと声を持ってる圭君。この子も美形。だけどいろいろと曰く付きで。品行方正に育った理乃ちゃんと音楽でつながりつつも彼女を引っ掻き回し、ギターが弾けなくなって……。大雑把に言うとこんな話だった。

 理乃ちゃんのバンドの名前はNitty Gritty(ニッティ グリッティ)。圭君の方はインデイーズバンドでIntehilda(インテヒルダ)。由来は触れられてなかったけど、インテヒルダってかっこいい響だなと思ってた。そして、このバンド。架空のお話なのに、イメージ音源がリリースされていたらしいことを今知った。

 ふたつのバンドがどんな音楽だったのかは気になっていたから、ネットにあればと探したら、インテヒルダの方だけ発見でした。でも聴いた瞬間「違ーう!」と叫んだ。赤木剛憲(一発変換)風。そして笑った。

https://nico.ms/sm1779731?from=274

 ニコ動なのでリンク先へどうぞ。

 なぜダンスポップ。インテヒルダはロックのはず。それに「You can dance tonight」なんて歌は作らないし、圭君のボーカルが爽やかなのも違う。彼のボーカルはきっとねっとりしていて、ちょっと聴いただけで衝撃を受けて忘れられなくなる声だから。ギターもこんなショルダーキーボードみたい音ではないと思うんだけど。ドラムも全然違う。マンガのなかでドラムは渋くてかっこいい年上の人が叩いてた。その人たちが作ってプレイするのがこのポップソングであることは……絶対ない。

 私が勝手に想像していたのは、スマッシング パンプキンズ。声質はビリーとは違うけど『Bullet with Butterfly Wings』あたりとか、こんな感じに独特の世界観があるバンド。なのに、イメージ音源を聴いた時に思い浮かんだのは、ヒュー グラントの『ラブソングができるまで』だった。この映画は1984年にリリースされた一発ヒット曲という設定だったような。圭君もバンド仲間の渦井もハーフでルックス抜群だからヒラヒラの衣裳も似合うと思うけど、でもねぇ。

 『3 -Three』の連載開始は1988年だったそうで、なるほど。世界がシンセポップだったのか。

 ちなみに理乃ちゃんがいるNitty Grittyというバンド名はダサいな。大手事務所がメジャーデビューさせるために作ったバンドだから仕方がないのだろうけど。こちらのバンドの音楽は、Hey Violet(ヘイ ヴァイオレット)をイメージしてる。

 音しか聴いたことがなかったから知らなかったのだけど、ヘイ ヴァイオレットはガールズバンドではないようで。でも、本当に偶然だけどドラムはニッティと同じく女性が叩いてるわ。ボーカルの子のパンチがあるルックスと、キレたらやばそうなところが理乃ちゃんとかぶる。歌も声も好き。

 『3-Three』は後日談があったら読みたい。圭君が表舞台から去って理乃ちゃんをアメリカに連れて行っちゃって、プロデュース業しちゃう日々。そういえば、最後のシーンにワールドトレードセンターが描かれてた気がする。

 見返したら音楽だけでなくファッションも80年代風だった。久しぶりに読みたい。