純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

50:リスボンの思い出

 

リスボンはミラノだ

 リスボンについた2000年2月11日。私は日記の見出しにこう書いている。おかしい。だって私はこの時まだイタリアに行ったことがないのに…。と、次の行に目をやると、こうあった。

行ったことないけど

  笑。

 人々の服装が黒を貴重にしたものばかりだったから、そう思ったらしい。ファッションのことは前から好きだったから。

 あとはたぶん街の様子も原因のひとつ。リスボンの街並みは想像していないほどキレイだった。乗ってきた電車がひどかったから余計にそう思うのだと思う。ポルトガルで撮った写真はどれもきれいで素敵なのに、全部処分してしまった。バカだなー。

 また行けるならば、街歩きをもっとしよう。大きな広場、石畳の道、オレンジの灯。広場に面した建物の一階にはたいていカフェテリアがあって、たくさんの人が長い時間お茶を楽しんでいるみたいだった。私たちもコーヒーとビールが大好き。友達に至っては甘い物も大好きだったから、カフェタイムはいつでも楽しかった。

 通りの突き当たりにとんでもなく美しい門があったことを覚えている。調べてみたら、アウグスタ通りの突き当たりにかかるアルコ ダ ルア アウグスタという凱旋門だそうだ。下から見上げて鑑賞するのだけど、意味がわからないくらいに姿形が美しく、歴史で習ったかつてのポルトガルという国を思い出してこう思った。

昔は強い国だったんだね

  世界の国々の中でポルトガルがどれくらい力のある国だったのか、正確にはわからない。だけど、ポルトガルにいる間になんどもそう思う機会があったことを今でも覚えている。

ジェロニモ修道院

 とんでもなく美しい場所をさらに。本当に適当に勘で行くのに、こういう場所に行き着けたことは幸運だ。中世を舞台にした映画やドラマ、ファンタジー系のゲームなどで描かれるような異世界感だった。

 作られたのは1500年頃。そのくらいの建物は日本にだってある。だけどなんといったらいいだろう。しっかり考えられた建造物は、建物への光の入り方が幻想的で、本当に妖精なんかがフワフワ飛んでいそうな雰囲気だった。

 この修道院の詳しいことは覚えていない。ひとつ今でも鮮明に思い出せることに、中庭を臨む回廊がある。庭に面した場所は石造りのベンチになっていて、座ることができた。そこに座って写真を撮ったんだけどな。あーあ。

 

発見のモニュメント

 地理の教科書の表紙がこの塔の写真だった。海に向かってレッツゴーなエンリケ航海王子と愉快な仲間たち。実物を見るなり、思っていた数十倍大きくて爆笑した。

昔は強い国だったんだね、再び。

 そして観にきている人がいない(笑)

 この時、像の奥に長い橋がかかっているのを発見した。渋い赤で、青空によく映える橋。長さもまぁまぁあって、何もないところにかかっている様子が気になり、発見のモニュメントよりもこちらを覚えているくらいだ。

 市街地への帰りはバスに乗った。途中、学校があるのか下校中の学生も乗って、東京のラッシュ電車のようになった。ノンビリしていそうな街なのに信じられない。さらに信じられないことに、このバスの中で痴漢に遭った。東京でも痴漢に遭ったことはなかったこともあってイラっとし、文句を言おうと振り返る。ポルトガルでも犯罪なのかどうかは知らない。すると、なんと中高生くらいの男子で驚いたのと呆れたので、あっさりお咎めをした。

「おい、こら、君。ふざけんな」

 みたいなことをビシャリと言う。毎日ラッシュ上等な街から来たピチピチの女子大生をなめるなと思った。

細い坂道がたくさん

 本当は山の上にあるお城にも行ってみたかったのだけど、時間切れで途中で諦めた。歩いたり、バスに乗ったり、細い道を人も車もゆっくりと行き交う感じが好きだった。一度降りてそぞろ歩きをしたバスにふとまた出くわした時、車掌さんが「乗る?」と乗せてくれたり。いいのかなー。知らない。建物がベージュの石で作られているからなのか、日が刺すと辺りは明るく感じた。

 

 時間は東京よりもずっとゆっくり流れてる。大人になった今こそもう一度行って、ゆっくりダラダラとした滞在をしてみたい。

 

 今日の場所は、大吟醸トラベルマップの50番。

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