純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

44:ロンドンの思い出

daiginjo travel london rosetta stone

 この時のロンドン滞在の思い出は本当に少ない。というか、印象が薄い。久しぶりの都会で古く美しい街なのに、何を書こうかパッと思いつかない。もしかしたら逆に見所がありすぎたのかも。

ユーレイルパス対象外

 イギリスの日本語の正式名称は『グレートブリテン及びアイルランド諸国連合』だと習った。今はどうやら『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』らしい。

 外務省のページも確認した。となると、若い先生が採点するテストでは私は不正解になりそうだ。たぶん”アイルランド諸国”を当事者が受け入れなかったのだろう。そりゃそうだ。私が習った名称ではアイルランドアイルランドで、北アイルランドはイギリスと理解するのは難しい。私は洋楽が好きで、その頃はUKロックなるものが流行っていたから簡単に理解できただけだもの。

 ということで、イギリスはユーレイルパスが対象外の国だった。ブリクジットした今もそうだけど、ユーロが出始めた当時だって自分たちはポンドだと譲らなかった人たちだ。思っているより日本人と似たような島国根性をもっているのかも。

 たくさん行きたい都市があった。でもパスが使えないなら次回のお楽しみにするべきだ。そして、パスが使えないイギリスを旅行日程の真ん中に挟んでしまったことを後悔した。イギリスは最初か最後。そうすると飛行機代が高くなりがちなのは残念だけど。

ロゼッタストーン

 食事はパブで食べるような物は私は好きだし、思っていたよりエスニックなご飯が多かった。なので比較的東京に似た生活。ただしロンドンは緑が多い、公園が多い印象だった。広いハイドパークを通って宮殿を見た。そして大英博物館を訪れた。この博物館を訪れたことで、博物館やその国が保有する貴重な品々についての考え方が変わったことを覚えている。

 大英博物館は超有名、所蔵数などを考えても世界トップクラスの博物館なのは理解できる。だけど展示物を見れば見るほどそれが盗品や略奪品であることに心が痛んだ。手に入れた方法は表向きには寄贈や購入でも、本来あった場所や持ち主から戦争で負けたことを機に持ち出された物だ。なんだかなと。いろいろな国のいろいろな時代の遺物の何を見ても、略奪した物を展示しているとしか見えなかった。

 とは言え、この美術館で覚えていることはふたつしかない。ひとつめは、入館料が寄付だったこと。もうひとつはロゼッタストーンだ。

 ロゼッタストーンとは英会話教材ではなく、歴史の教科書に載っていた石のこと。ナポレオンのエジプト遠征の時に持ち帰られた物であったはずだ。世界的にもよく知られているようで、この石が置かれている場所の周りには人だかりができていた。そしてびっくりした。

 むちゃくちゃ大きい。

 教科書にあったのは、石そのものの写真だった。比較対象はない。それを見た私は勝手にティッシュの箱くらいの小さな物だと思っていた。だってエジプトから持ち帰られた物。まさか760kgもある物だとは想像していなかった。

 人気の博物館だから観客には日本人が多くいた。そして、たぶん多くの日本人が同じことを思い、当時まだよく見た“タバコの箱を一緒に撮って大きさを比較”している人が結構いた。展示方法も今とは違い、博物館の壁に沿ってガラスケースに入って置かれているだけだった。裏側は見られない。

 ストーンと呼ばれているけど、これは岩だ。何気に一番気分が上がった。また見に行きたい。

吉井和哉さんに会った日本人

 もうひとつだけ、よく覚えていること。ロンドンでは同世代の女性ふたり組と会ったのだけど、その子たちが「今、イエモンの吉井さんに会ったんだよ」と言っていたこと。都会だと旅の途中の日本人にもよく会うし、有名人を見かけたりする。それもまた楽しかった。

ユーロスターに乗る

 次の目的地はフランスのおパリだったのだけど、避ける予定だったユーロスターにすんなり乗ることにした。来る時にフェリーで爆酔したから。

 想像していたとおり座席は狭く、日本の新幹線にそっくりだった。しかもほぼトンネルで車窓なし。素敵でもなんでもなかった。でも乗ってよかったと思ったのは、出発地のウォータールー駅が素敵だったこと。マット デイモンの『ジェイソン ボーン』シリーズにも出てきたあの素敵な構内を思い出したくて写真をググったら、なんだか違う。セント パンクラス駅(St. Pancras station)なんて駅に行った覚えはない。

 知らぬ間に駅が変わっていた。どうりで記憶にない訳だ。でも、この駅もまた美しい。ロンドンの建物は石の使い方が華奢で繊細だと思っていたけど、鉄もまた細く細かく配置している。オレンジの光と合っていてきれい。また行きたいな。でも教訓を活かして、イギリスはイギリスだけをたっぷり巡る。今度こそ。

 

 今日の場所は、大吟醸トラベルマップの44番。

www.google.com