純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

103:正伝永源院の思い出

  • たまたま前を歩いてた
  • 庭鑑賞のための間
  • お座布団付きの縁側

 まったくのノーマークだった。

 庭が公開されている時期にたまたま前を通り、「この季節だけ限定公開しています」という看板に惹かれて中に入った。ちょっといい一般のお宅のようなシンプルな表門だったから期待はなし。逆に、なぜそんなにもったいぶっているのだろうとすら感じたくらい。

 お庭に面する部屋に入るなり息を飲んだ。

 細川氏縁のお庭らしい。庭を眺めるための部屋なのだと思った。縁側に「座って眺めてくださいね」と言わんばかりに座布団が敷かれている。そのとおりにしてみると、目の前の低いてすりがかわいい。こんな高さと脆さでは安全性のために作られたのではなさそう。いいなぁ。東京の家はマンションばかりだし、戸建でも狭小住宅ぞろい。大きな庭なんて夢のまた夢だけど、私もお金持ちだったら庭と縁側がほしい。

 お部屋の中にあった木の壁の飾りが美しかった。板に花が彫刻されて色付けられた物。素朴でしっとりとした雰囲気が。こういう凝った手仕事の物はどんどん減っているように思う。こういう場所でしか見られない。

 窓全開だと当たり前にかなり寒い。この庭を愛でた昔のやんごとなき方々は、こんな寒さすらをも雅としていたのかな。これもまた風情なんだろう。ため息も出るけど、ただ呼吸をするのが幸せなお庭だった。

場所の詳細は、Google My Map 大吟醸トラベル の103番にて。