純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

01:ユーレイルパスの思い出

  • 電車の地図が出てきた
  • 2000年のアナログ旅

 今年は在宅勤務と外出自粛のお正月のおかげで、きっちりさっぱり大掃除をすることができた。それで出てきた。2000年のヨーロッパ旅行で使ったユーレイルパスの地図。実家にあると思ってたから感激。ユーレイルパスを購入するとこれともうひとつ、時刻表の本ももらえた気がする。それがまたおもしろいのだけど、まだ実家の物置に残っていることを祈る。

 当時はiPhoneなんてなかったし、旅にパソコンを持ち歩くことはなかった。情報収集や予約にネットは使うけど、一旦旅に出てしまったら人や本から情報を得るのがほとんど。ホテルに置かれた端末でメールチェックだけしていたと思う。あと、アップルストアも同じ目的で使ってた(笑)だから、こういう冊子はとても大事。ついでに記録も残るから、今考えるととてもいい。

 この時の旅の目的は、ずばりユーレイルパスを使い倒すことだった。電車で国を超えて旅をできることは、日本に住む私にはロマン。時間に余裕がある今のうちに、たくさんの街と土地を見ておきたいと思ったのだ。

 チケットは十万円くらいだったかな。忘れてしまったけど、ヨーロッパやアメリカは学生に優しい。交通費はもちろん美術館や博物館の入館料もかなり割引してもらうことができ、いろいろとお得に旅ができた。若いうちにたくさんの体験をさせてくれようとしているんだなと思った。だって、当時の日本はそこまで非社会人への優遇措置はなかった。auが携帯料金に学割を設けてシェアを伸ばし始めたのもこの頃だったと思う。そうした人々の意識や社会構造の違いをはじめて、しかも自分の身をもって経験できることは楽しかった。

 二枚目の赤い線は私が実際に辿った道のりだ。日本を出る前に決めていたのは、コペンハーゲンから入ってローマから出ることだけ。これと言った理由はなく、マックでポテトを食べながらなんとなく決めた。旅を続けていくなかでこの到着地、出発地の決め方は間違っていたことに気づくのだけど、どうしたら目的地に到着できるのか、一番効率が良いのは、突然気になって寄りたくなった街などを考えながら旅行計画を立てるのは楽しかった。それでできたのが赤い線。結構な移動距離だ(笑)

 ヨーロッパの駅は事前にアナウンスがなかったり、標識がなかったりする場合も多い。当然Google Mapもない時代だから、どこを通っているかは野鳥の会がごとく自分で見つけてメモを取らないとならない。それでも、取っておいてよかった。自分が滞在したり通過した街の名前を把握できれば今後再訪したり、ストリートビューで眺めることができるから。

 これからこの度の様子を書いていきたいと思う。今ではありえないアナログさに笑い、風景が変化している場所に驚くだろう。それもまた楽しみ。コロナでこんな世界になってしまったから、したいことは全部してみようと思うようになった。そういえば、この旅をしていた頃の私はそういう心持ちだった。ずいぶん社会に飼いならされたな。

 なんてことも反省しながら、楽しかった美しかったことを思い出してみる。どうぞ、おつきあいください。