純米@大吟醸

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39:アムステルダムの思い出(その1)

  オランダは衝撃の連続だった。何かと言えばカルチャーショック。オランダと聞いて想像していた風車や干拓っぽいことは見られなかった。場所が違うのだろうか。冬だからチューリップは無理だとしても、それなりに絵に描いたような穏やかな風景を見られると思っていたのに。

アムステルダムの駅前

 アムステルダムには中心にある駅に着いた。構内を出ると、日本の駅と同じく大きな交差点になっていた。渋谷のスクランブル交差点みたいな感じ。渋谷ほどの人はいなかったと思うけど、私には同じくらいに感じた。なぜなら皆、驚くほど長身だったから。

 友達も私も160cm後半。日本人女性としては平均より高く、日本で背が小さいと言われたことはなかった。なのにアムステルダムの駅前で感じたのは、オランダ人はガリバーで私たちは小人。女性でも180cmくらいあったと思う。男性はもっと背が高く、彼らの間に立つ私達は本当に小さい。信号が変わるのを待つ間に笑いそうになった。

タバコのポイ捨て天国

  次に驚いたのはタバコ。二十年も前の話だから、世界が今ほど嫌煙ムードになかったのは事実。それにしてもすごかった。まずは喫煙者がほぼ全員。日本人もタバコを吸う人が多いけど、ヨーロッパの人はそれよりずっと多いと思ってた。

 歩きタバコもちろん歩きタバコ。街に喫煙所なんてなかったと思う。そしてポイ捨てが当たり前(笑)吸殻は好きな場所で道路に投げ捨てるから、道路の側溝付近にはタバコが数センチの層になって溜まっていた。汚い。清掃車は来ないのか、日本とは違うのはわかっているけど、そんな微妙なことが気になった。

アムステルダムは北京だ

 駅から数十メートル程度しか歩いていないうちに、またしても衝撃を受けた。道を渡ろうとしたら、女性に大声でどなられたからだ。ただの女性ではない。自転車で爆走して向かって来る女性。怖い。鬼の形相だ。その後、世界は自転車びいきになり世界のいろいろな場所で自転車民を見て自分も乗ってきたけど、あの時ほどの勢いで自転車をこぐ一般人を見たのはあの時限りだ。

 たぶん「邪魔!」と叫んでいたのだと思う。私は歩道を降り、横断歩道を渡ろうとしていただけだ。だけどアムステルダムの道には歩道と車道の間に自転車道があって、そこは自転車以外の何人たりともが足を踏み入れては行けない場所のようだった。

 怖かった。自転車に轢かれる。あまりの衝撃だったのか、当時の日記に「アムステルダムは北京だ」と書きなぐっている。そう、当時の中国といえば北京で、北京といえば通勤ラッシュが自転車だった。今ではたぶん違うのだろうけど、そういえば何があったのだろう。

ブラジル人の大合唱

 オランダともオランダ人とも関係ないけれど、アムステルダムではブラジル人のナチュラル ボーン カーニバルの人な気質を思い知らされた。

 この街で私たちはユースホステルに泊まった。ちょうどいいホテルがなかったのと、ユースホステルがきれいで快適だと聞いたから。これも経験。確かにきれいな建物で近くに公園もあって快適だった。

 でも夜、ラウンジでブラジル人のグループがそんなのを持って旅をしてるのかと笑ったギターをかき鳴らし、大声で歌い、また歌が下手クソだったものだからイライラ。部屋の方まで爆音が響き、時間を考えなよと思いもした。日本人は静かな民族だ。北島三郎さんみたいなお祭り気質もあるけど、彼らとは何か違う。

 ただし、他の人に注意されると明るく素直にやめていた。「あー、ごめんよ。アミーゴみたいな感じ」(絶対違う)ラテン系の普通なのか、南米の方の特徴なのか。ジメジメした性格でなく、ただひたすら陽気なのは少し見習うべきだと思った。

 

 これだけでもアムステルダムはぶっ飛んでいると思った。日本人だと好きになるかならないかは半々くらいではないだろうか。私たちはまだ頭が柔軟な歳だったこともあって、日本ではありえないことばかりの日常を爆笑三昧で過ごした。衝撃は続く。

 今日の場所は、大吟醸トラベルマップの39番。

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