純米@大吟醸

美しいと楽しい、旅と音楽と日々のこと。

105:嵐山と天龍寺の思い出

 京都といっても広く、嵐山は遠い。にも関わらず、たいてい日本の人は京都に行くたびに嵐山を訪れると思う。東京に住んでいる私ですら、日本橋より渡月橋の方を多く渡っていると思う。素晴らしい吸引力だ。

 修学旅行、家族旅行、彼とデート。誰と行くかはいろいろだけど、嵐山で一番楽しいのは女友達とのそぞろ歩きかなと思ってる。駅からちょっと離れた橋まで激混みの道を歩いて、左右に立ち並ぶお店に目移りしながら、突然視界が開けて川が広がる。

 比較的普通の橋なのに、なんであんなに素敵に見えるんだろう。都があった時代から同じだったと思わせる、昔っぽい姿をしているからかな。本当は普通に鉄筋コンクリートの橋だそう。そこを悟られないように隠しているところが私は好き。

 橋自体のこともあるけれど、渡月橋を美しいと思うのは右に見える山のせいだと思う。星のやがある奥の方から、橋行く人々に迫る手前まで、計算しつくされたかのように低い山が重なり合うあの風景。本当は山というより丘くらいの高さしかない。そんな控えめな感じにグッとくるんだろうなと思ってる。

 今回は秋。詩季織々の趣がある場所だけど、嵐山の紅葉はほっこりした感じがいいと思った。神社やお寺みたいな観光スポットでもなく、北米のブワッと派手に染まるタイプでなく。赤、オレンジ、黄色、緑が適当に混ざってるのが朗らか。全体的に彩度が低いのも好み。

 舟遊びができる浅瀬も素敵だった。地元の小学生はこういう場所で写生の課題をしたりするのかな。うらやましい。だけど、この年は台風で多大な被害が出た2013年。川辺に土嚢やブルーシートが積まれていたり、無残に倒された量水標があったり。爪痕の大きさを感じて寂しくなった。

 天龍寺には初めて行った。渡月橋から歩いてすぐ。池が本当にきれいで、適度に白く濁っているように見えるのは池作りの技術ゆえなのか、偶然なのか気になった。だって水面に映る太陽があまりにきれいだったから。

 天龍寺には散策できるお庭があった。歩くごとに少しずつ、違う風景を見られるようになっていた気がする。落ちてしまった紅葉のふんわりとした絨毯を見た。あと山茶花が植えられた一角があって、そこを見て山茶花が好きになった。家に植えたいくらい。花のつき方も花びらの落ちる様も可憐。華美でないところがいいと思う。

 それにしても京都の川は水がきれい。鴨川もだけど、渡月橋が架かる桂川も普通に水が透き通っていた。

場所の詳細は、Google My Map 大吟醸トラベル の105番にて。